宿泊サイトがやるべきWebマーケティング

ブログ投稿も第9回目になりますが、今回は宿泊予約システムでもチャットボットでもなく、宿泊施設直販サイトのWebマーケティングについて解説していこうと思います。直販サイトのWebマーケティングはOTA手数料を下げるという目標を持つ宿泊施設にとっては非常に大きな課題です。こちらをしっかりと取り組むことで直販売上を伸ばしていけるのです。
わたし自身、多くの宿泊施設様と2015年から商談をさせていただいております。これまでどれだけの宿泊施設様と商談をさせていただいたのか数えきれません。その商談の中で、わたしは常にOTAやリアルエージェントからの送客に頼るのではなく自前のWebサイトから集客しましょうと伝えるようにしています。
しかし、直販サイトの集客の話をすると多くの宿泊事業者の方は、「Webサイト作り直した方が良いと考えている」と返答してきます。完全にWebマーケティングに関する考え方が欠如しているといつも感じており、このことをより正確にわかりやすく伝える方法はないものかと悩んでいるのです。
Webマーケティングは直販サイトにお客様を呼び込む方法でありますので直販サイトの中身とは全く関係がないのです。(リピーターのお客様を増やすと言った意味では関係がありますが)。一方で、直販サイトの作り込みや刷新は、一度直販サイトを訪れてくれたお客様が予約をして、また直販サイトで予約したいなと思われるためにサイト自体を良くする必要があるのです。いわば、一度サイトを訪れた人の新規予約と過去に宿泊してくれたお客様のリピート予約になります。
どちらが重要?と問われると両方重要といつも答えています。鶏と卵の理論と同じですが、まずWebマーケティングを整備することが先決です。これを整備しないといつまでたっても新規のお客様が流入してきません。新規のお客様が流入してきているが予約してくれないと言った場合に、Webサイトの見直しや予約エンジンの見直しが必要になるのです。
目安として100部屋程度の単館の施設で月間2,500人がサイトを訪れており、月間の直販サイトの予約が100組以下の場合は、Webサイトもしくは予約エンジンの見直しが必要です。いますぐtriplaへご連絡ください。
一方で、Webサイト訪問者が2,500人以下の場合は、Webマーケティングの見直しを先にすべきでしょう。2,500人以上がWebサイトを訪れていたらWebマーケティングが不要というわけではありません。最低基準をクリアしているに過ぎませんので、引き続きどんどん施策を実行していってください。では、その施策はどのように実行していけば良いのでしょうか?
Webマーケティングの仕組みですが、世の中では大きく分けて、7つのチャネルと言われるものとサイト自体のUX/UIが挙げられます。
サイト自体のUX/UIに関しては今回は少し触れるだけで、じっくり説明するのはまた別の記事にて触れていこうと思います。ですので、今回は、主にWebサイトのトラフィックを増加させる直接的なマーケティング手段について説明していきます。7つのチャネルですが、こちらは、下記の項目が挙げられます。
アフィリエイト広告
バナーやリターゲティング等の広告
キーワード広告
SEO対策を含む検索エンジン
ダイレクト
メールマガジン
ソーシャル
アフィリエイト広告は、宿泊施設であればその事業体と関連のありそうな媒体に対して紹介リンクを埋め込んでもらい、お客様を紹介してもらう方法です。紹介の対価として送客手数料を紹介者へお支払いします。具体的には旅行ブロガーなどが考えられます。日本全国の名湯巡りみたいなサイトを運営しているブロガーさんがいて非常に多くの旅行者がこのかたのブログを見にきているとします。宿泊施設はこのブロガーさんへ記事として取り上げてもらうことで集客を見込むことができます。記事でも良いですが、記事中にバナーを貼ってもらうこともあり得ると思います。記事やバナーに紹介者がURLに埋め込むべきReference Tagを入れてもらうことにより、ホテルはどのブロガーから集客ができたのかがわかります。その集客に対して送客手数料を支払うスキームになります。送客手数料は、CPAとCPCというモデルが基本になります。CPAはCost per Acquisitionの略で、実際にお客様がAcquisition=獲得できたタイミングで手数料を支払うモデルです。予約のタイミングもしくはホテルのチェックアウトのタイミングで支払いを確定させてブロガーへ手数料を支払います。一方で、CPCはCost per Clickの略で、記事やバナーをお客様がクリックしたタイミングで手数料を支払うモデルです。いずれかの方法で集客をすることでホテルはOTAで集客するよりも割安な料金でお客様を集めることができると思います。
バナーやリターゲティング広告は、アフィリエイト同様にCPAもしくはCPCモデルにて課金されるモデルが主流になります。バナーは一般的なバナーをクリックしてから宿泊施設サイトにお客様が訪れると課金されます。リターゲティング広告は一度宿泊施設に興味を持ったお客様がニュースサイトなど全く異なるWebサイトをみていても広告だけが追いかけてくると言ったスキームになります。課金方法はCPCが主流になります。
キーワード広告は、GoogleやYahooと言った検索エンジンでお客様が検索した際に、広告として表示させるためにキーワードを購入する方法になります。例えば、「箱根 旅館」と検索した際に、誰が広告を買っているのでしょうか?

答えは、JTB、Jalan、ヤフートラベルになります。えっ、そんな大企業しかこのキーワードは買えないの、うちの旅館では無理無理という方もいらっしゃると思います。しかし、Googleが提供しているキーワードプランナーを利用するとキーワードがいくらで買えるのかがすぐにわかります。

クリック当たりの単価つまりCPCでは95円でこのキーワードを買えるわけです。平均予約コンバージョンが5%であれば、20クリックに1回予約してもらえるのです。20クリックを得るための金額は20x95円で1,900円になります。ADR30,000円の宿でしたら1,900円は6.3%にあたります。JTBやJalanに支払う手数料と比較したらどちらがお得ですか?是非とも計算してみてください。逆にOTAは常にこの計算をしています。宿からもらえる手数料が10%であるならば、広告に投下する費用が10%以下であれば儲かると言った計算をしているのです。
余談になりますが、たまに見かけるのですが、自社ブランドをキーワードとして買っている事業者を多く見かけます。ブランドのCoachであれば、「Coach」というキーワードを買っているみたいな現象です。宿泊施設でもたまに見かけます。こちらはお金の無駄ですのですぐにやめましょう。

SEOを含む検索エンジンは、最も重要な施策になります。検索エンジンで「箱根 旅館」と検索するとどの宿が検索トップにくるのでしょうか?その答えは、箱根花紋様でした。
それでは、箱根花紋様はどう言った取り組みをしているのかというと、やるべきことを粛々とやっているにつきます。ソースコードを覗いてみると基本的なSEO対策であります、meta name, meta keyword, meta descriptionなどの対策が施されていることがわかります。SEOの全貌は語ると長くなるので、是非、SEO対策本を一冊読んでみてからWeb屋さんと打ち合わせしてみてください。

ダイレクトは、サイトをブックマークしていたり直接URLを打ち込んで入ってくる方ですので、それほどの対策はありません。一方で、この数字に伸びるとファンが増えているという裏返しになります。
メールマガジンは、一般的には少し古臭く聞こえるかもしれませんが、宿泊施設ではすごく重要な集客方法だと考えています。なぜなら、一度宿泊されたお客様からメールアドレスを伺っていれば必ずコンタクトできる手段であるからです。しかしながら、これができている宿泊施設がほとんどありません。まずこの状況は何がなんでも解消すべきです。2020年に事を発したコロナ危機ですが、コロナの影響で全くお客様が来なくなった中、お客様にコロナ対策も万全なので是非一度泊まりに来てくださいとメールを打てた宿泊施設は何件あったのでしょうか?わたしは職業柄多くの宿にメールアドレスを共有していますが、1件もそのようなメールが届いていません。OTAからは届くのに・・・。この状況は改善が必要です。
お客様の顔を知っていますか?お客様にもう一度来ていただきたいと思いますか?お客様にコンタクトできますか?の質問に対して、お客様にコンタクトできない宿がほとんどです。一般的なビジネスシーンでは商談の際や新たに知り合う際には、名刺交換をします。名刺にはメールアドレスが記載されていますので、後から連絡をとることが可能なわけです。この簡単なメカニズムを宿泊施設は実行いていないのです。
では、どうやって実行すれば良いのでしょう。最も簡単な方法は、会員プログラムを作ることです。会員プログラムを作ってチェックインの時に登録してもらうことです。ゲストカードを書くついでに会員になってもらうのです。このちょっとした努力をすることで飛躍的にお客様の情報を入手することができます。うちは単館で運営しているから会員プログラムは大袈裟かなと思っているあなた、大間違いです。単館であろうとチェーンであろうとお客様と繋がることは絶対不可欠です。是非、今日から始めて下さい。
最後がソーシャルです。ソーシャルと言っても運用するのが大変でなかなか手が回らないと言った方が多いのではないでしょうか?ただ、今はFacebook、インスタグラム、Twitterの3種の神器は是非とも運用した方が集客には圧倒的に有意です。できればLINE@も運用していただきたい物です。ソーシャルの中で情報を発信する際に、予約への導線を用意すれば1件でも2件でも予約が増えていきます。もし運用に困っているようでしたら是非ともtriplaへご相談下さい。