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ホテルの自社Webサイト予約率向上の鍵

 皆様こんにちは。こちらのブログではホテルの自社Webサイトにおける予約システムの重要性について解説していきます。

 ホテルに限らずどの業界でも共通して言えることは、お客様を獲得してそのお客様にサービスを利用していただいて収益を上げると言うことです。ECサイトであれば、ECサイトにお客様が訪れで、そのお客様が欲しい商品が揃っており、お客様は価格に満足し購入する。スーパーであれば、スーパーにお客様が訪れ、同様にお客様が欲しい商品が揃っており、お客様は価格に満足し購入するといった流れです。

 ホテルがお客様を迎え入れるまでの流れですが、大きく分けて三つの流入経路でお客様を迎え入れます。

1. JTBや日本旅行といった街中に存在する旅行代理店経由での予約になります。こちらは業界ではリアルエージェント経由の予約と言います。リアルエージェント経由の予約には個人と団体の両方が含まれます。

2. Expedia.co.jpや楽天トラベルといったオンライン・トラベル・エージェンシー経由の予約になります。こちらは業界ではOTA経由の予約と言います。

3. 自前の予約になります。自前の予約には大きく分けて、電話での予約とWebサイト経由の予約があります。こちらは業界では自社経由の予約と言います。

 近年、ホテル業界では自前での予約比率を増加させることが課題となっています。最近の日本国内のホテルにおいては、景気好調に加えてインバウンド需要の増加により、集客経路を重要視する企業は少なく、旅行特需にあやかり自社ブランドの構築を怠っているホテルが沢山ありました。しかし海外に眼を向けると、海外ホテルでは自社Webサイト経由での予約比率を非常に重要視しています。インターナショナルブランドのマリオット等においては経営戦略の中でも明確に自社Webサイト経由の集客の重要性を明言していますが、海外のローカルホテルにおいても自社Webサイト経由のお客様にはフロントでキャッシュバックを行う等の目に見える特典を設けています。

 それでは、自社Webサイト比率を向上させることはなぜ重要なのかを考えていきます。自社Webサイト経由での予約が増えると言うことは、お客様のブランド認知度が高く、ホテル指名買いにてお客様が予約してくれるため、リピート顧客率の増加が見込まれ収益が安定化すると言うことです。また、リアルエージェントやOTAへ支払う手数料も無いためコストも圧縮できます。一度泊まっていただいたお客様がある一定の間隔を開けてリピート利用してくれると言うのはホテルマン冥利に尽きる内容ですよね。

 それならホテルは収益安定、コスト圧縮、顧客ロイヤルティ向上の為に自前での予約、特に自社Webサイト経由の予約をどんどん増やしていけばいいのではと皆さんが考えます。しかしながら、現実はそううまくいかず私の知る限り、多くのホテルでは自社Webサイト経由での予約率は2-20%であり、平均を取ると5%程度であると考えられます。自社の電話経由が5%程度あると想定しても、収益の90%をリアルエージェントとOTAへ依存しているのが現状です。集客に対して手数料をリアルエージェントやOTAへ支払う訳ですから自社Webへのマーケティングや機能改善に使えるコストも自然と減ります。

 例えば、上記の表を見てください。こちらは客室数100部屋、ADR10,000円、稼働率90%のホテルの月次売上内訳になります。実際にホテルを経営されている方でしたら容易に想像がつく内容になります。OTAからの売上が最も高く、リアルエージェント経由に関しては昔は多かったが今はそこまで無い。自社も大昔は電話が多かったがIT化以降は低迷みたいな構造です。

 筆者は5年間旅行業会にてヒアリングをしてきましたが、この状態で多くのレベニューマネジャーもしくはマーケティング担当者はOTAとの関係構築が重要だと言います。理由は現状の売上比率が高い為です。また、将来が見えていない担当者は更にリアルエージェントとOTAとの関係構築および交渉が忙しいので自社まで手が回らないと平気な顔をして商談で話をしてきます。また、このようなホテルの担当者はトップラインの数字には頓着しますが、集客費用率には大抵無頓着です。上記の表でも、自社とリアルエージェントではトップラインの数字は同じですが、リアルエージェントからの手数料は自社のマーケティング費用を大きく上回ります。OTAの集客費用も同様です。ではなぜリアルエージェントとOTAの手数料には寛容で自社のマーケティング費用には寛容では無いのでしょうか?その答えはリアルエージェントとOTAの手数料は成果報酬の後払いであり、自社Webサイトのマーケティング費用は先払いであるからです。しかも業界慣習が出来上がっている為、この状態を放置していても担当者は経営陣から咎められることは大抵無いのです。高額な後払い費用でリスクなく集客するのは未経験者や新卒社員にでもできます。一方で、自社Webサイト集客の為へのマーケティング費用は多くの場合上席の決裁が必要となり、お金を使ったからには結果を出すよねと多くの報告が強いられます。その為、費用計上の依頼をするもの消極的になり、結果トライアルの様な施策が多くなり、どれもこれも中途半端なアクション実行となりその為売上も伴わないといった結果になります。

 このような間違った状態のPDCAが繰り返されている為、ホテルは永遠に自前での集客メカニズムを構築できず、結果収益改善が永遠に達成できないといった流れとなっています。では、正解とはなんなのでしょうか?そのメカニズムと手法について説明していきます。

 ホテル業界の手法を解説する前に、他業種での同様のビジネスと時代の流れについて説明していきます。私は起業前の2011年から2015年までAmazon Japan株式会社でファッション事業部の事業部長をしておりました。Amazonは無数のブランドを仕入れ、最適価格で、最短の発送時間でお客様のもとに商品が届けられます。ファッション商材も同様に品揃えされていました。一見すると、消費者は百貨店やブランドストアへ行くよりもAmazonに来ればどのブランドも購入できるのですごく便利な購入場所だと言えます。しかし、消費者の行動はそうシンプルではありません。ファッションブランドの中でも有名な、ユナイテッドアローズの自社Webサイトの売上はこういったAmazonやZozoに圧倒されてホテル同様に自社Webサイトからは売れていないのでしょうか?こちらの記事にも紹介されている様に、既に20%以上の売上が自社Webサイト経由となっており、年々その比率が上昇しています。



 過去6年間の数値を見ても順調にネット売上比率が増加していることがわかります。それでは、なぜユナイテッドアローズは年々自社Webサイト売上を伸ばせているのでしょうか?いくつかの要因を考えていきます。

 1. 自社サイトの画像が最も充実している。同一商品に対してAmazonでは8枚程度の写真が自社Webサイトでは20枚以上掲載されています。

 2. 身長・体重などを入力するとベストフィットのサイズを教えてくれる等の最新のサイト内機能が充実

 3. LINEで販売員に相談ができる

 4. 迅速な商品配送体制が構築されている

 5. Web商品在庫が店舗在庫とも連動している為、Webサイト上で欠品が少ない

 6. 30日以内返品可能といった返品体制も充実

 7. 自社Webサイト、Amazon、Zozoのどのサイトで購入しても同一料金

 8. 会員登録が可能で、登録後は容易に購入できる

 9. 会員登録無しで購入する場合も、名前、住所、電話番号、Eメールと最小限の個人情報入力に留めており離脱を防止している

 10. 会員ポイントプログラムやクーポンプロモーションといったプロモーションが定期的に実施されている

 11. 支払い方法の選択時に、クレジットカードを選択し、同一画面内で決済が完了する

 12. スマートフォンでのレスポンシブ機能

 13. Facebook、TwitterといったSNSを通じての集客

 14. SEOやキーワード広告といった基本的なウェブマーケティング体制


ざっとあげてこの様な要因がうまく働き自社Webサイト売上比率が向上していると考えられます。個人的には、会員登録はソーシャルログイン機能が欲しかったですが、こちらもいずれ改善されるでしょう。

 では、ホテル業界にとって同様の取り組みをお客様視点で当てはめて考えてみるとどうでしょうか?

 1. OTAと比較しても自社Webサイトのお部屋やプランの画像が充実している。OTAでは4枚程度のお部屋画像であるが、自社Webサイトでは20枚以上の画像が掲載されている。

 2. 日付、人数を入力すると、最適な客室が提案される。送迎バス等のオプション販売を提案したり、併設のレストランの提案と予約が可能。チェーン施設の場合、該当日が満室の場合、近隣施設を案内する。

 3. Webサイト、運用しているLINE@やFacebook Messengerを通じて、AIチャットボット等を通じて自由に質問ができる

 4. 自社Webサイトからの予約がサイトコントローラーを通じてPMSへ自動的に取り込まれる、もしくは自社WebサイトからPMSへ自動的に取り込まれる。

 5. 自社Webサイトの在庫がOTAやリアルエージェント在庫と共有化されている為、Webサイト上での満室表示が少ない。

 6. 予約をキャンセルしたい際に、誰でもわかるUIで簡単にキャンセルができる。

 7. 自社Webサイト、リアルエージェント、OTAのどこで予約しても同一料金。値段差をつける場合は、自社Webサイトが最安値。

 8. ソーシャルログイン 等を含めて、容易に会員登録が可能。

 9. 会員登録無しで予約する場合も、名前、電話番号、Eメールと最小限の個人情報入力に留めており離脱を防止している

 10. 会員ポイントプログラムやクーポンプロモーションといったプロモーションが定期的に実施されている

 11. 支払い方法の選択時に、クレジットカードを選択し、同一画面内で決済が完了する

 12. スマートフォンでのレスポンシブ機能

 13. Facebook、TwitterといったSNSを通じての集客

 14. SEOやキーワード広告といった基本的なウェブマーケティング体制


 上記に挙げた通り、一見業界が異なるファッションEC業界とホテル業界ではありますが、自社Webサイトを強化し、顧客を獲得していくための施策は非常に類似していると言えます。この項目全てがしっかりとできていると言うホテルはまだまだ少ないと言えます。こちらを一つずつ実行していくことで、ホテルにおける自社Webサイト売上比率もユナイテッドアローズ同様に伸ばしていけると考えています。

 こちらのブログでは、今後はお客様視線にたち、一つ一つどの様にすればお客様にとってよりわかりやすく予約しやすくなるのかを取り上げていきます。

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