ホテル予約エンジン - 予約完了までのUIの重要性
こんにちは、前回はホテルの自社Webサイト売上比率を伸ばすための施策例について説明しましたが、今回からはホテルの予約エンジンの各機能の重要性について解説していきます。
本稿では、お客様が自社Webサイトを訪れて、予約完了するまでの流れ (UX/UI)の重要性について解説していきます。
皆様日常的にサービスを予約をする事があると思います。私の場合ですと、飲食店の予約、美容室の予約、ゴルフ場の予約、SUPの予約、歯医者の予約、病院の予約、トリミングサロンの予約、飛行機の予約、電車の予約、車の車検や点検の予約、ホテルの予約、荷物の再配達受付などなどになります。
Web予約が簡単で便利な場合次回サービスを利用するときにもWebから予約します。また、予定が変更になったりキャンセルになる場合もありますので、Webからのキャンセルのしやすさも重要です。Webサイト内でどこを辿ればキャンセルができるのかわかりにくい予約システムは二度と使いたくないですよね。
では、簡単で便利なWeb予約と、複雑で不便なWeb予約の違いは何なのでしょうか?一番わかりやすい違いが予約するまでに要する時間になります。人それぞれのITリテラシーによって同一のWeb予約を使っても所要時間に差異が発生しますが、簡単で便利であればITリテラシーが高い人には一瞬で、ITリテラシーの低い人にも混乱せずに予約が完了できるといった流れになります。
最近のITサービスの中で、複雑で不便であったサービスの一例としては、特別定額給付金の支給申請の予約があるかなと考えています。Webサイトで申し込んでいるにも関わらず、途中からはアプリをダウンロードして、Webとアプリの間で情報のつなぎこみが必要。そしてマイナンバーカードもスマホを介して読み込まさるといったかなり複雑な経路での予約でありました。スマホブラウザがプライバシーモードになっていると予約が完了しないといった罠も仕掛けられていました。比較的ITリテラシーが高いと自負する私でも45分を所要しました。お金が給付されるので文句は言えませんが、逆に納税システムならクレーム殺到だと思います。
逆に、最近のITサービスですごく簡単で便利になったサービスもあります。その一例としては、JRが提供している新幹線が予約・乗車できる「EXアプリ」です。こちらのアプリが出る前には複雑なWeb予約をして予約番号を持って発券してとかなり複雑なカスタマージャーニーが要求されていましたが、「EXアプリ」の登場によって、大阪での会議が長引いても帰りの東京行きの新幹線を簡単にアプリで変更ができます。その所要時間わたしの体感で30秒以内。予約するのも30秒くらいですね。キャンセルはもっと簡単で10秒もあればキャンセルできます。
「EXアプリ」が搭乗前は、予定が決まっていてもWeb予約が面倒なので駅に30分前に行って自動販売機で発券すればいいやと思っていましたが、「EXアプリ」の登場後は必ず事前予約するようになりました。これこそが便利さからくるイノベーションです。便利さだけで売上は変わらないのでは?という方もいらっしゃるかもしれませんがそれは違います。少なくとも私の周囲には5名が、これまで東京-大阪の往復は予約が不便だからと飛行機を利用していていましたが、この「EXアプリ」の登場により新幹線も利用するようになっています。予約利便性は売上も増加させると考えられます。
それでは、triplaが提供するホテル予約システムの予約までの時間をカウントしていきます。前提条件として、会員ではなくゲストとして予約、2020年9月2日からの1泊、シングル禁煙で大人1名での予約になります。典型的な出張の予約ですね。
こちらのムービーの通り1分8秒 (68秒)で予約が完了しています。この68秒は長いのでしょうか短いのでしょうか?比較検証のために、他社の予約エンジンを使用した場合の時間とOTAを使用した場合の時間を測り比較しました。
結果としてtriplaの予約が68秒と最速であることがわかります。OTAに関してはホテル名を検索して探すため検索時間に20秒ほど取られていました。裏を返せば、triplaの予約とOTA予約はほぼ同スピードと言えます。一方で、triplaの競合他社の予約エンジンからの予約においては1.5倍から2倍の時間を要します。この差は大きいと私は考えます。ビジネスマンであれば出張の予約の為にわざわざデスクに向かってやろうという方はいないはずです。大抵は電車での移動時間みたいなアイドルタイムに予約をするはずです。東京の電車であれば駅間の平均が2分程度ですので乗降者時間を鑑みても68秒あれば一駅で予約が完了します。「EXアプリ」ほどのスピード感ではないにせよ、この1秒でも予約時間を縮めることで予約率は格段に向上します。
詳細は本項では省略しますが、triplaには会員登録機能があります。会員になると、名前、メールアドレス、電話番号などの入力が不要になります。その為、会員が予約に要する時間は30秒と非常に高速になります。会員にとっては「EXアプリ」と同等のスピードで予約が完了するわけです。
では、スピーディーに予約できるようにするにはどういった工夫が必要なのでしょうか?一般的に言われていることは、予約フローを最適化してコンバージョンに繋げることとモバイルを第一に考えるということです。その為にホテルマンが色々考えるのもありなのですが、より最短で回答にたどり着く方法があります。私は現時点での最適な予約フローはOTAが熟知していると考えています。私が過去に働いていたAmazonでも同様ですが、OTAには社内に徹底的にUX/UIを追求する人たちが大勢います。日々A/Bテストを繰り返し、よりよいUX/UIの改善を実践しています。一方で、これまでのホテルの自社Web予約エンジンではA/Bテストも行われず、UX/UIの改善も後手後手に回っておりOTAのUX/UIと比較したら月とスッポンの状態でした。
tripla社が2020年時点で考える最適なホテル自社Web予約エンジンのUX/UIは、OTAと同等のUX/UIで旅行者が予約が完了できる環境であると考えています。その為、サイトの作り、予約までの導線、クレジットカード入力画面、triplaの予約エンジンはOTAと非常に近いUX/UIで予約できる工夫をしています。ECサイトの右上にカートがあるのはなぜでしょうか?これまで、Amazonをはじめとする多くのECサイトがほぼ全て右上にカートを設置しているため、お客様は教えられなくてもカートを探すときには画面右上を見る癖がついています。ホテルの予約の際にも、ExpediaやBooking.comの予約と同じ方法を辿れば自社Webサイトでも簡単に予約できるというお客様への安心感を提供する。これが予約までの所要時間が短縮できる鍵なのです。