ホテル会員獲得費用はいくらが適正なのか?

ホテルにとって会員は非常に重要な役割を果たす考えています。なぜ、重要なのか?、それは会員であれば非会員と比較してリピート率が高まるからです。
2020年4月から5月にかけて日本では皆さんご存知の通り緊急事態宣言が発動され、日本中の全ての宿泊施設にて大変危機的な状況に追い込まれたのは自明の事実であります。triplaも危機的な状況に追い込まれたのですが、その理由はもちろんお客様である宿泊施設が閉鎖や倒産に追い込まれていき、サービス利用者の数が減ったためです。
しかし、そのような状況下であってもデータを見てみると、危機が本当に深刻なホテル、そこそこ深刻なホテル、そこまで深刻ではないホテルの3つに分けられたなと思っております。危機がそこまで深刻ではないホテルはそもそもの財務体質が頑丈な法人であります。一方で、そこそこ深刻と本当に危険の境目は、ホテルにとってファンがいるかどうかなのだと非常によくわかりました。自社Webサイトからの予約状況を見ていると、ファンが多いホテルの自社Webサイト比率はもちろん高い結果になっていました。
例えば、AホテルとBホテルのそれぞれ100室あるホテルがコロナ前に85%の稼働率であったとすると、月間2,550室分の予約が入っていた計算になります。Aホテルは、OTAからの集客が95%で残り5%が自社予約であり会員予約は1%であったとします。その場合、2,295室がOTA、128室が自社、26室が会員予約になります。一方で、Bホテルは50%が自社予約で会員がそのうち90%、OTAが35%とすると、893室がOTA、1,275室が自社、1,148室が会員予約になります。
では、コロナ禍に突入した際に、AホテルとBホテルどちらが厳しい状況になったでしょうか?答えは非常に簡単で、Aホテルは瞬間的に危険な状況に追い込まれ、Bホテルはコロナ禍でも持ち堪えています。OTAからの予約は何か危機的な事象が起きた際にほぼゼロになるのに対して、自社Web会員は危機的な状況でも予約してくれるという結果をデータとしてtriplaは確認することができました。例えば、Aホテルではコロナ禍で、OTA230室、自社が40室となり、合計270室の予約と、対前年で12%の稼働、ADRも下がるため10%以下の売上と追い込まれることになります。一方でBホテルでは、OTA予約は90室と減少しますが、自社予約は50%程度の630室を確保でき、合計720室の予約を確保でき、対前年で28%でADRを加味しても25%の売上を確保できることができているためAホテルと比較して1.5倍の収益性であることがわかります。
コロナ禍でOTA予約は90%減ってしまったというデータに対して多くの宿泊施設の方は頷かれるのではないかと思います。しかし、自社Web会員予約を見ていくと、実は2020年4-5月の緊急事態宣言中であっても50%減が平均であり、会員の多くはホテルを応援してくれていることがわかるのです。
つまりホテルにとって会員とはOTA手数料を支払う必要のないロイヤルカスタマーであることはもちろんのこと、危機的な状況においてもホテルを応援してくれる切っても切り離せないお得意様なのです。
では、ホテル会員獲得のためにどれだけのマーケティング費用を投じるべきなのでしょうか?その答えはまず業態とADRにあると考えています。
旅館やリゾートホテルの場合ですが、宿泊体験に満足し、帰りの車中で「楽しかったね、また来たいね。」といった会話がなされることは多々あると思いますが、そのお客様の中で、該当施設に3回以上訪れることはあるのでしょうか?私自身の経験から言っても、年間3回くらいは旅館やリゾートホテルに泊まっていますので、過去20年を振り返ると60回くらいは泊まっているのかなと思います。その中で、2回泊まったことがある旅館やリゾートホテルは6件くらいです。そして3回以上泊まったことがある旅館やリゾートホテルは3件ほどになります。つまり45件くらいは1回のみ、3件が2回、3件が3回になります。会員になっているか否かを調べてみると1回でも会員になっている宿泊施設が6件程度、2回以上の宿泊施設では全て会員登録をしていました。つまり会員登録をすると、50%くらいの確率でリピートしているのです。これは宿泊体験の差だけではありません。修善寺で泊まった旅館、熱海で泊まった旅館、由布院で泊まった旅館は今でも妻と「良い旅館だったね、また泊まりたいね。」と話に出てきますが、肝心の旅館の名前が思い出せません。つまり、旅館名が思い出せない以上絶対にリピートしないのです。一方で、北海道の野口観光様が運営している乃の風リゾートは会員登録もしているため、リピートしてしまうのです。会員登録の重要性が伺い知れる一面です。
一方で、ビジネスホテルにとって会員はより重要になります。出張でビジネスホテルを利用する際に、価格、部屋、立地のこの3点で宿泊場所を選ばれるお客様は多いはずです。私は札幌へ出張する際に、ダイワロイネットホテルに宿泊する可能性が80%であり、その理由は価格、部屋、立地の全てであります。もちろん会員になっています。一方で、福岡に出張する際にはワシントンホテルキャナルシティに泊まる可能性が40%であり、同様の理由であります。2回リピートしたビジネスホテル、3回以上リピートしたビジネスホテルは数え切れませんが、そのほとんど全てが会員登録していることがわかります。
では、会員獲得にいくらの費用をかけるのが適切なのでしょうか?旅館リゾートホテルのADRを6万円とした場合、会員12人に対して平均リピート宿泊数を15泊とした際に、会員1名に対して75,000円の宿泊売上を稼ぎ出したことになります。マーケティング費用を5%と換算した場合3,750円まで費用を投じることができます。OTA手数料の15%を基準に考えると11,250円まで費用を投じることができるわけです。会員になっていただければその場で3,000円オフとかされたらお客様は驚きますが、リピートする可能性が上がればやる価値は十分ありますよね。
一方でビジネスホテルの場合は、ADRが1万円、会員の平均宿泊数は6泊で非会員の平均宿泊数が1.5泊であった場合、会員は非会員に対して45,000円多くの宿泊費を支払っていることになります。OTA手数料の15%を考えた場合6,750円、マーケティング費用平均の5%を考えた場合でも2,250円の費用を投じても会員化させた方が良いことがわかります。
ここまで会員の重要性を述べてきまして、ホテルや旅館の皆様は会員を獲得したいのはわかってるよ、でもどうやったら増やせるの?と言われるかと思います。triplaがこれまで研究してきた中で、ホテル会員の増やし方をこれから説明していきます。
triplaが提唱する会員増加策としては以下の3点になります。
1. 宿泊者を会員化させる
2. Web予約時に会員化させる
3. お問い合わせ対応時に会員化させる
宿泊者を会員化させるには、フロントでの対応が肝になります。フロント業務は人が行っていますので、本社が行うとしたらコンテストを開くのも良いと思います。triplaホテルブッキングを活用しているホテルではフロントにQRコード付きの会員獲得資材を用意し、施設毎に何人会員を獲得できたかのコンテストを行っているチェーンホテルもあります。
Web予約時には会員になったらXXX円引きですと訴求することが肝要です。triplaではゲスト予約ならいくら、会員になったらいくらとその差を明示したうえで予約を取ることが可能であるため、全予約のうち50%以上が会員登録をしたうえでの予約になっています。また、会員登録もソーシャルログインでワンクリックで済ませることができるのも強みになっています。
最後はお問い合わせ時に会員化させるです。triplaではAIチャットボットサービスを展開しています。100室ほどのホテルでは月間平均200件程度のAIチャットボットからのお問い合わせを受けます。triplaではお問い合わせを対応したうえでお客様に会員になりませんか?と促すようにしております。その結果、200件程度のお問い合わせがあるビジネスホテルであっても10件ほどの会員化を達成できております。つまりOTA手数料ベースで67,500円分、マーケティング費用5%ベースで22,500円分の費用をAIチャットボットで賄うことができています。100室のホテルのAIチャットボットの平均使用量は20,000円であります。お問い合わせの自動化ができる上に会員までリーズナブルな価格で獲得できる計算になります。
triplaが展開するホテルブッキングとAIチャットボットに関して、ホームページから是非お問い合わせください。